マイクロソフトがEdTech戦略の強化を目指してオンラインと対面の個別指導プラットフォーム「TakeLessons」を買収

TechCrunch Japan

Microsoft(マイクロソフト)は2021年1月に同社のオンラインコラボレーションプラットフォームであるTeamsについて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で多くの学校が一部、または完全にリモートになったことにより利用者の増加が加速し、1億人以上の学生に利用されていることを公表した。そしてここにきて、教育市場における地位を今後も拡大するために買収を実施した。

MicrosoftはTakeLessonsを買収した。TakeLessonsは学生が音楽や語学、学術的なテーマ、職業訓練、趣味といった分野の個人教師とつながり、個人教師はオンラインや対面で提供するレッスンの予約や管理をするプラットフォームだ。

買収の条件は不明で、TechCrunchは取材を続けている。サンディエゴに拠点を置くTakeLessonsはこれまでに、LightBank、Uncork Capital、Crosslink CapitalなどのVCや個人投資家から少なくとも2000万ドル(約22億円)を調達した。TakeLessonsは自社サイト上でこの買収を認めるQ&A形式の短い記事を公開した。この記事によると、当面はこれまで通り運営し、これまで以上に多くの世界中の対象者に向けてプラットフォームを提供するとしている。

買収の時点でTakeLessonsを利用しているアクティブな学生や個人教師の人数は不明だが、関連する数字を挙げると、オンライン個別指導大手の1つであるヨーロッパのGoStudentは2021年前半に17億ドル(約1870億円)の評価額で2億4400万円(約268億4000万円)を調達した。Brainlyなどのオンライン指導企業も数億ドル単位の評価額となっている。

TakeLessonsの調達額がそれほど大きくないところを見ると、評価額はもっと低かったと思われる。買収はMicrosoftにとってインフラを手に入れ、マスマーケットのオンライン教育にもっと積極的に参入する準備のきっかけとなるものだが、他の大手プラットフォームと直接対決していく可能性もある。

現在TakeLessonsは音楽(これが同社のスタートだった)、語学、学術的なテーマ、テスト対策、コンピュータのスキル、手芸など幅広いジャンルの指導を提供している。2006年に創業し、地元で対面指導をする個人教師とつながるためのプラットフォームとして出発した。その後、オンラインレッスンにも進出し、ビジネスを補完している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大でオンラインレッスンに大きくシフトし、現在では同社のプラットフォームで提供されているサービスの大半がオンラインでの指導のようだ。レッスンは引き続き1対1で提供されているが、学生は同社のライブプラットフォームを利用してオンラインのグループレッスンにも参加できる。

世界中で起きているオンライン教育へのシフトが、Microsoftが大きなチャンスがあると見る理由だろう。

世界中の多くの学校が外出禁止や隔離中になんとかリモート学習をしようと急遽オンライン学習のプラットフォームを求め、教育者と家族、学生はさまざまなツールを使うように(そしてお金を払うように)なった。そうした中でMicrosoftはTeamsをこの分野のトップにすべく躍起になっている。

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マーケットにおけるMicrosoftの牽引力(と多くの投資や買収)がすでに長年あった中で、こうした動きが続いてきた。

しかし現在の状況下で新たな激しい競争が起きている。例えばGoogle Classroomや、ビデオレッスンのような特定の目的に絞ったソリューション(Zoomが顕著な例)などの台頭だ。他にもレッスンや宿題の計画を立てるアプリ、数学や語学、科学といった特定のジャンルに関してクラスでの学習を補強するオンラインのオンデマンド指導などもある。

プラットフォームにできるだけ多くの機能を取り入れて囲い込み、ユーザーが他のアプリに行かないようにして多くの価値を提供するのがMicrosoftのやり方だ。したがって筆者は、同社がさらに買収をしてもっと多くの機能を提供し、同社の教育用ツールでまだ提供されていないサービスをすべてカバーしようとするだろうと予測している。

(例を挙げよう。筆者の子どもの学校ではオンラインレッスンにTeamsを使っている。その理由の1つは、学校のメールシステムにOutlookを使用しているからだ。学校は宿題の計画に別のアプリを使わないと発表した。先生は宿題を出したり管理したりするのに、これからはTeamsを使う。この学校のように予算が厳しければ、1つのアプリでできることなのに2つのアプリに支払いをしないのは当然だ。子どもたちには評判が良くない。これが、Microsoftが推進するプラットフォーム戦略だ)

TakeLessonsは学校を対象とした教育の戦略と近い位置にある。確かに、個別指導のクロスセルのチャンスがあると思われる学生とその家族は大勢いる。しかしTakeLessonsはマスマーケットを対象としたサービスも提供し、何かを学びたい人すべてに開かれている。Microsoftの教育関連製品をすでに使っている人たちだけが対象というわけではない。

オンライン学習を補完したい学生(これはオンライン個別指導の市場として大きい)だけでなく、何か新しいことを学びたい生涯学習者や消費者、プロフェッショナルも対象になるという点に注目だ。1人で家で過ごす時間が増えたこの1年半は特に学びへの関心が高まっている。

こうしたことから、TakeLessonsにはMicrosoftの世界における新たなチャンスも考えられる。

米国時間9月9日、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏とMicrosoft傘下のLinkedInのCEOであるRyan Roslansky(ライアン・ロスランスキー)氏が今後についてオンラインプレゼンテーションを配信した。このプレゼンでは教育、特に職能開発が強調して語られ、LinkedInが新しいラーニングハブを導入することが明らかにされた。

LinkedInは教育ビジネスの構築に長年取り組んでいるだけでなく、自社プラットフォームにもっと囲い込んでビデオが活用されるようにすることも目指している。

TakeLessonsのようなサービスは一石二鳥になるかもしれない。LinkedInのこれまでの教育コンテンツは「ライブ」のオンラインレッスンに特に結びつくものではなかったが、今回の買収はLinkedInが次にしようとしていることとの橋渡しになることも考えられる。

関連記事:LinkedInが新ラーニングハブ、ハイブリッドワーキングのための検索フィールドなどを導入し変化する時代を先取り

画像クレジット:Imgorthand / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Kaori Koyama)

Source: TechCrunch Japan

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